睡眠薬や抗不安薬を使用すべきケース

   

老犬介護ではお薬が必須になるケースが存在します

運動機能が低下したり、身体に異常が生じると、ワンちゃんはそのことを伝えようとして鳴いてしまうことがあります。 また認知障害でも神経機能の異常により夜間にずっと鳴きがとまらないことがあります。 まずは鳴きの原因が何なのか、ワンちゃんの様子をみながら考えてみましょう。
 
参考記事:認知症状による鳴きの問題
 
上のリンク記事でも触れましたが、中にはお薬でしか改善できないケースもあります。
ただ多くの飼い主さまは薬の使用に抵抗を感じます。
自分が大変だからといって、愛犬を無理やり薬で眠らせるなんてことが許されるのだろうか?
薬の副作用でこの子の体調が悪くなったり、寿命が縮まるなんてことはないんだろうか?
そんな思いにさいなまれ、薬の使用を思いとどまったり、薬を使用している間も罪悪感でいっぱいになるというご相談は後をたちません。
自分を犠牲にしても、愛犬のために一番良い選択をしたいというその優しいお気持ちは素晴らしいものです。
また理屈ではなく、感情の部分で大きな抵抗感があることもよくわかります。
 
そんなお気持ちを整理するために、今の状況を一つずつ整理してみましょう。
 
 

鳴きによる愛犬の体力の消耗はどの程度ですか?

高度の認知障害により昼夜を問わず鳴きが止まらないケースではためらうことなくお薬を使用すべきでしょう。鳴きたくないのに声が出てしまう、ゆっくり眠りたいのに眠れない、そんな辛くてたまらない状況から一刻もはやく愛犬を助けてあげてください。
 
原因がはっきりしないケースも同様です。
シニアのワンちゃんの場合、全身麻酔を伴うMRI検査などは難しいことも多いので、最終的に確定診断がつかないケースも多々あります。原因を探っている間に、ワンちゃんの体力はどんどん消耗していきます。
夜間はお薬でしっかりと眠ってもらい、昼間の時間にワンちゃんの様子をみながら原因を探っていきましょう。
 
立てなくなったり、身体の異常によってワンちゃんが大きな不安を感じているケースは、ちょっと様子をみてあげてください。その子の性格にもよりますが、異常が始まった時に大きく動揺して鳴きが最高潮になり、その状態を徐々に受け入れていくことで鳴きが収まることもあります。また逆に身体の異常の進行にあわせて、鳴きが大きくなることもあります。
後者の場合は、やはりお薬を使用しないと、体力の消耗により病気などの進行が早くなってしまいます。
 

鳴きによる飼い主さまの体力の消耗はどの程度ですか?

 「自分のことはどうでもいい。この子のためならいくらでもがんばれる」
でもちょっと考えてみてください。
もし飼い主さまが倒れてしまったら、その子の面倒を今までと同じようにみてくれる方はいらっしゃいますか?気持ちが張り詰めているとき、人は限界ギリギリまでがんばれてしまいます。でもその糸がぷつんと切れた時には、一気にすべてが破綻します。
また限界までがんばっていると、万が一ワンちゃんに新たな症状が生じたときに対応しきれません。
その子のために余力を残すことは在宅介護を続ける上で最も大切なことです。
ご家族やご友人、またかかりつけの動物病院など、周囲にどの程度のバックアップが期待できるかは人それぞれでしょうが、それらをすべて考慮した上で、ご自分の余力をどの程度残しておけばよいのか検討してみてくださいね。
 
 
 
この記事に関心をもってくださった飼い主さまが思うように、安易に薬で眠らせるようなことがあってはなりません。しかしながら、現状でいただくご相談からみると、むしろ愛犬への愛情が深すぎて、使用すべきケースであるにも関わらず薬が避けられていることが多いように感じます。それぞれのワンちゃんによって適応もさまざまですので、抵抗感や罪悪感がどうしてもぬぐえない場合には、ぜひご相談ください。
 
実際にお薬を処方していただく場合のヒントや、お薬の副作用については別の記事にまとめさせていただこうと思います。そちらもどうぞ参考にしてくださいね。